特集

生産量日本一を誇るまち豊岡鞄で「鞄縫製者トレーニングセンター」を立ち上げ伝統技術を継承する!!

公開日:2018-08-21

豊岡は鞄の日本4大産地の一つであり、現在では国産鞄の約7割を製造し、高く評価されている。

豊岡は鞄の日本4大産地の一つであり、現在では国産鞄の約7割を製造し、高く評価されている。奈良時代から始まる柳細工を起源とし、江戸時代に柳行李生産から鞄作りを始め、国内外の大手鞄メーカーの受託生産を行ってきた。バブル崩壊後、大手の製造拠点が海外に移ったことで一時衰退したが、平成16年~18年からはJAPANブランド育成支援事業・フォローアップ事業を通じて「豊岡鞄」ブランド構築に力を注ぎ、平成18年「豊岡鞄」が地域団体商標登録の認定を受けたことを契機に、長年培った縫製技術、持ち手など細部にこだわった高い品質、種類の豊富さを売りに自社ブランドで販路拡大を目指す組合員が増えてきた。

組合の概要

組合名 兵庫県鞄工業組合
業種 鞄の生産の事業を営む中小業者
住 所 〒668-0041
豊岡市大磯町1番79号
組合員数 61人
出資金 9,300千円
電話番号 0796-23-7833
URL https://www.toyooka-kaban.jp/

きっかけ

新たな縫製者の育成等を図るため、「鞄縫製者トレーニングセンター」を開設!

平成18年「豊岡鞄」が地域団体商標登録の認定を受け、長年培った縫製技術、種類の豊富さを売りに自社ブランドで販路拡大を目指す組合員が増加。そのような中、鞄縫製者の高齢化及び縫製者不足の問題が顕在化し、新たな縫製者を育成し組合員の労働力不足の解消を図るとともに、若者の雇用の機会を提供することを目的に、平成25年9月「鞄縫製者トレーニングセンター」を開設した。

取組内容

縫製等一定の水準に達するよう2ヶ月の指導期間、その後インターンシップ等現場経験面接を経て就職へ!

当事業の内容は訓練生の募集から始まり、職安を通じて全国から訓練生を募集、面接を経て訓練生を選考した。その後技術習得訓練を開始。訓練生は鞄縫製未経験者を対象にしているため、訓練ではミシンの電源の入れ方など構造の説明から指導しており、最終的には様々な種類のバッグの制作技術を一定の水準に達するよう2ヶ月間をかけて技術習得する。

その訓練終了後、縫製現場の実施訓練としてインターンシップを実施、マッチング会議や企業面接を経て、双方の合意により就職が決定するしくみとなっている。

平成29年4月より豊岡鞄の情報収集・発信拠点として「Toyooka K-site(トヨオカ ケイサイト)」に名称を変更して、当センター運営とともに直販体制構築等新たな取組みを始めている。

取組の効果

講義の工夫、インターンシップの機会拡大、シェアハウス設置の対応や改善により他府県からの応募者が増える!!

平成25年9月より1期生を受け入れ、平成28年11月まで10期76名の修了生を送り出し、71名が組合員企業、地元企業に就職し、初期の目標を上回る実績を上げた。当初は豊岡、但馬管内からの応募がほとんどであったが兵庫県内だけでなく、京丹波市や長野市・富士宮市・西之表市など他府県から「豊岡鞄」を制作したいという強い思いを持つ応募者が増えている。さらに組合では、訓練途中の脱落者を出さず、一定の水準で育成できるよう、それぞれの技量にあわせ講師が適性を見極めながら課題を与える等の工夫や訓練生と組合員企業とのベターマッチングが重要と考え、訓練中に加入料拠出組合員は自由に訓練を見学できるようにするとともにインターンシップを1企業3日間で5企業(延べ15日間)にし、訓練生・組合員企業双方がより多くのお見合い機会を得られるように改善した。

また訓練終了後は組合員鞄メーカーに就職してもらうことが前提のため、他府県からの採用は「転居」の問題があり、訓練生の大きな負担となっていたが豊岡市の補助を得て医院を改装、訓練生を受け入れるシェアハウス(6人収容)を設置。当シェアハウスでは市の第3セクターが運営する職人養成学校「アルチザン・スクール」の生徒も受け入れるなど相互交流が期待されている。

併せて人材不足の組合員企業に若い即戦力の人材を供給できていることは組合員から高い評価を得ているが、採用した訓練生がすぐに退職するというケースもあり、採用時の斡旋料を20万円から5万円に引き下げると同時にミスマッチをできるだけなくすよう、訓練時に技術だけでなく人間性の教育を行うなど講義内容を工夫しているほか、採用時にはドラフト制を導入、訓練生・組合員企業双方が選ばれる存在になれるよう努力する仕組みを整えたことで、「豊岡鞄」を作りたいといった若者や組合事業を利用したいといった新規加入者が増えている。

―今後について―

「人材育成」の成功モデルとして「豊岡鞄」のブランドイメージ向上へ!

今後厚生労働省・豊岡市の助成事業が終了し、助成金に頼らない事業運営として、兵庫県但馬技術大学校の委託訓練校として訓練生の受け入れや希望者にはミスマッチのないよう面談や志望動機の確認、実講座内容や教え方等のさらなる工夫などを行い「人材育成」の成功モデルとして「豊岡鞄」のブランドイメージ向上につなげていきたい。

バーチャル展示会サイト:https://www.web-tenjikai.com/orgs/1374210284