全国に名声を誇る手延素麺「揖保の糸」のブランド価値～白き糸の創造と伝承～

「揖保乃糸」ブランドのしくみ～その1　大手企業に負けない品質管理体制！

全国手延素麺生産数の半分近くが兵庫県で作られ、売上高も手延素麺市場で約４割もの金額シェアを獲得している。 「揖保乃糸」は、多数の生産者によって形成しているため、品質基準を統一することが課題であった。

各地域の気候や環境によって品質にばらつきが生じ、価格・取引条件に影響を及ぼすため組合ではその原因徹底究明と、トレーサビリティを重視した生産者を特定できる仕組みの構築を行った。

各工程での検査体制の強化や製品情報をコンピュータで一元管理し、不測事態には、リスクを最小限に食い止めることができる。これに付随して組合では商品クレームに対して、操業停止や減産処分を含めた生産者減点制度を導入し、更なる品質強化に繋げている。

「揖保乃糸」ブランドのしくみ～その2　需給変動への対応！

素麺は、①気候変動②長期保存食③熟成を重ねると舌触りとコシがある歯切れのよい麺に仕上がり高値で取引④賞味期限はおおよそ3年半と様々な状況による需給量の調整が難しい。

組合では、原材料の中でも特に小麦粉にこだわり揖保乃糸独自の企画に統一し、過剰な生産はやめ生産に従事させる。適正な在庫を抱えながら需給管理を行い、取引価格や生産者の収入を安定させている。

「揖保乃糸」ブランドのしくみ～その3

特約店との信頼関係による強い販売力！ 「揖保乃糸」は、これまで特約店制度による販売網を築いてきた。
組合では小売りと直接取引を行うこともできたが、あえてこれまで築きあげた特約店との関係を維持し、組合機能も生産管理に集中させ、特約店のよりよい価格取引条件を引き出すことで単なる組合の営業代行の側面を超えた信頼関係を共有し、強い販売の原動力に繋げている。

「揖保乃糸」ブランドのしくみ～その4

共同開発やコンテスト開催・海外展開など新たな取組みに向けて！ 　組合では大手チェーン小売業と新商品の共同開発に取り組んでいる。小売側から新商品開発依頼に対応することで食品加工における品質管理のノウハウや手法を組み入れるとともに新商品の販売では、最終的に「揖保乃糸」を付与することを販売条件に入れている。

さらに2005年プロの料理人が選ぶ新しいレシピ開発を主題とした国際的なコンテスト「揖保乃糸ニューレシピグランプリ」、2006年ハワイにて初の試食イベントを開催する等、海外での販路拡大にも努めている。今回、高品質を認めるITQI国際優秀味覚コンテストで手延素麺揖保乃糸の「特級」「上級」が見事３期連続で受賞するなど「揖保乃糸」ブランド育成に繋げている。

組合と組合員の機能分離が「揖保乃糸」を進化に繋がる！

組合の経営執行機能と組合員の生産機能とを分離してきた。このため組合は、品質管理や売り過ぎない・売れ残りを作らない需給調整の仕組みづくり、組合員は、品質のよい生産活動にそれぞれ従事できた。

そして信頼関係の構築された特約店との運命共同体の関係づくりやこのしくみを支え維持していく上でトップ（理事長：井上 猛）によるリーダーシップの手腕は、会社形態以上に強く求められ、常に市場の求めに応じた客観的な立場で「揖保乃糸」ブランドを守り続けてきた強い信念が今日の高い品質と消費者の支持を得るに至った大きな要因の一つである。

理事長から一言

弊組合が素麺製造販売一筋で130年歩み続けられているのは、皆様のご指導ご支援のお蔭と感謝しております。今後も「顧客の満足」「創造の発展」「環境の保護」「職技の継承」そして「協同の団結」を経営理念として、実践していきます。
創立130周年のスローガン「豊かな心の創造と伝承」を胸に組合役職員・組合員一同、この食の多様化と消費人口減少化の試練を乗り切るため更なる挑戦をします。何卒変わらざるご愛顧を伏してお願い申し上げます