独自開発水耕栽培システムで「儲かる農業」を構築し地域経済に貢献する『住環境住環境システム協同組合』
■背景・目的
平成26年養父市は国家戦略特区に認定。市として民間事業者と連携し新たな農業モデルの構築に取り組むことになった。「大手企業だけでなく地元事業者も積極的に農業の付加価値かに貢献すべき」と考え、活用の難しい小規模な耕作放棄地に地域資源である市内産のスギ材を使用した小規模閉鎖型屋内野菜生産場(植物工場)を建設・普及することにより、安心・安全な野菜の通年生産と販売するという新たな「儲かる農業」を創出し、地域経済循環と雇用創出を目的として事業を開始した。
■取組み手法と内容
「養父モデル」は、耕作放置地を活用するため小規模でも利益が出るよう、初期投資と運用コストを抑える必要がある。地域未来牽引企業である伊藤電機株式会社の協力を得て、レタス栽培に適した「LED照明装置」を開発。小規模耕作放置地を活用できるよう栽培ライン短縮&建屋の小型化で初期投資を抑えたモデルを開発、小規模経営で雇用創出ができるよう効率的な手作業の方法及び季節や天候に左右されず、24時間一年中安定栽培可能な運営ノウハウの確立に努めた。また今事業を進めるにあたって、地域経済循環創造事業交付金を受給できるよう計画書を作成した。今事業はまず当組合単独でのレタス生産販売を行うため市内耕作放置地を取得し、「養父モデル」を実現した2棟の屋内野菜生産工場「まんてんファーム」を建設、実証事業をスタート。
1棟につき260株/日生産、販売価格は100円/株を実現できるよう、播種・発芽段階(4日・400株/日・歩留率100%)⇒育苗段階⇒(16日・360株/日・歩留率90%)⇒生育段階(24日・288株/日・歩留率72%)⇒出荷段階(260株/日・歩留率65%)44日間かけて260株/日出荷する生産計画を目標に、生産の安定化と販路開拓を図りながら、収益事業としてのビジネスモデルの実証を行った。
■成果とその要因
「養父モデル」は、組合員の知識とノウハウを活かした工夫で初期投資及び運用コストを削減した水耕栽培システムが完成した。まだ改善の余地があるが、養父市内においては農地の転用手続きをせずに建設が可能であり、耕作放置地に「養父モデル」を導入する地主を増やしていくことで、地域経済の活性化や雇用機会の創出につながると期待できる。
point!
機会をとらえ、先進事例に学び、組合員の強みを再認識して結集することで、地域の現状に即した新たな地域経済循環と雇用創出にチャレンジできる。
<組合の概要>
組合名 | 住環境システム協同組合 |
事業 | ・兵庫県産材を中心とする建設資材の組合員のための共同仕入、共同販売事業 ・組合員たる工務店のエコ住宅受注促進に向けた工事受注支援 ・太陽光発電による売電事業 ・水耕栽培事業 |
住所 | (〒667-0113)兵庫県養父市薮崎1050番地 |
組合員数 | 13名 |
出資金 | 5,050千円 |
お問合せ | TEL:079-664-0297 |
URL | https://www.juukankyo.com/ |