当会の支援事業(令和6年度連携組織活路開拓調査・実現化事業)を活用し、「コワーキング協同組合」が取り組んだ事例を紹介します。
月刊中央会(2025年5月(第808号)p1)より
【きっかけ】オリジナルアプリのユーザビリティの向上を目指す
コワーキング協同組合は、全国のコワーキングスペースを紹介するウェブメディアの開設・運営、コワーキングスペース開業の相談対応などコワーキングという新しいワークスタイルの社会的認知の向上と事業の振興に努めてきた。そんな中コロナ禍により、長期にわたってコワーキングスペースの利用者の足が遠のく事態に陥り、このままでは経営が成り立たないというコワーキングスペースからの相談が相次いだ。ただ、コロナ禍においてもオンラインイベントは開催されていたので、イベント情報の共有と収益の再分配を実現したオリジナルアプリ「cosac」を開発した。このアプリは、イベント情報を登録、公開し、閲覧したユーザーが参加申し込みをし、参加費を決済する機能を有している。イベント終了後、売上から手数料を控除して開催コワーキングスペースに入金すると同時に、前述の参加者を紹介したコワーキングスペースにも紹介手数料(参加費の5%)が支払われる仕組みとなっている。リリースしたアプリのベータ版は、ごく簡易な機能に限られているため、メッセージ機能の拡充や仕事案件の情報を投稿して協働者を募る「ジョブボード」機能、その報酬支払いに必要な決済・送金機能も追加していく必要があると考え、本事業を取り組むに至った。
【取組内容・特徴】「AIを使用した仕事の受発注システム」の開発
アプリに追加してほしい機能について既存のユーザー(アカウント取得者)に対して調査を実施した結果、「プレーリーカード(デジタル名刺)」と「AIを使用した仕事の受発注システム」がほしいとの要望があった。今回は予算と期間を考慮し、「AIを使用した仕事の受発注システム」を開発することに決定した。システムの生成AIの部分はChatGPTを採用し、検索者がAIチャットに質問(依頼したい仕事内容等の自由文)を入力すると、AIが概要をまとめ、キーワードを設定し、「cosac」のユーザーの中から、その仕事を受託できる職種に該当する人を検索抽出しスコアを添えて推薦してくれる機能を実装した。加えて、検索者はその画面から、該当者のプロフィールを閲覧でき、かつ、直接メッセージが送信できる仕様とした。
【支援の結果や今後について】より便利なアプリへ進化
「cosac」のユーザー数がまだ不十分なので、コワーキングスペースへの周知、勧誘を継続的に行い、1年以内にAI活用の精度にも関わるプロフィールページの入力項目を充実させたいと考えている。その他にも、音声入力機能の実装や、「cosac」のデータベースからX、Facebook、Instagramへの自動投稿機能、GPSと連携したイベント情報の検索機能の実装も予定している。 また、本事業で開発したシステムは、仕事案件の検索および適任者の推薦機能に特化しているので、仕事発注後に生じる「業務受託契約→納品→請求→支払い」をAIおよび決済サービスStripeと連動させ、アプリ上で完結することができる機能等についても計画的に進めていく。
活用補助金等について
【活用補助金】
〇連携組織活路開拓調査・実現化事業補助金
中小企業者が経済的・社会的環境の変化に対応するため、中小企業組合及び任意グループ等が共同で取り組む事業について支援するものです。)
〇募集期間:例年2月~3月頃
当会HP、メールマガジン等でご案内いたします。
※令和7(2025)年度の募集は終了しております。
【活用報告やお役立ち方法】
月刊中央会O!
https://www.chuokai.com/chuokaio/ よりご覧いただけます。