令和5年度連携組織活路開拓調査・実現化事業に関しまして、「播州織と加古川靴下の連携を推進する会」が中央会の支援事業で取り組んだ内容を紹介致します。
①きっかけ:県下繊維産業企業同士による連携
靴下業界では、2000年を境に安価な海外靴下が大量に国内市場に流入し、輸入浸透率が急激に上昇した。混迷期を脱却するため、それに伴った市場競争の激化に対して、国内靴下産業は独自のファクトリーブランド化など高付加価値路線を追求してきた。
一方、播州織業界においては、特に戦後は「ガチャマン時代」と呼ばれる活況の時があったが、発展途上国の繊維工業の発展とともに安価な輸入品が増加し、播州織の生産量、海外輸出量は減少してきた。そのため、準備工程の省力化や新素材による織物開発、新製品の開発に取り組んできた。
今回、地場産業の活性化を図ることを目的として両産業の連携による新規事業が発足した。
②取り組み内容:播州織の製造過程で発生する残糸の有効活用
播州織でどうしても残る少量の端切れ糸を使用し、1足の糸量を削減できる靴下を製造することで、端切れ糸の廃棄問題を解決し、かつアップサイクルのアップという点で価値を付加した製品を市場に送り出すことを目的として商品開発を実施。
播州織を作る過程で先染め染色された糸を使用し、加古川靴下製造の独自技術にて靴下製造を行い、播州織の柄を靴下に落とし込むなど今までにないコラボ商品開発を行った。また、インスタグラムでの広告という有用なSNS広告により残糸のアップサイクルブランド「SAYUU」誕生のPRを行った。
③支援の結果や今後について:連携継続による更なる発展
今回の連携事業により作成した靴下のアイデアを生かし、今後東播染工株式会社で余った糸を田中繊維株式会社で靴下にアップサイクルする流れを継続させていく。双方の業界におけるSDGsに向けた今回の取り組みについては、今まで行ってきた産業廃棄物を資源として再利用するだけでなく、播州織の製造過程で発生する端切れ糸を利用し、加古川靴下の技術で高付加価値をつけて靴下を作るアップサイクル事業を通して新しい地場産業の連携を図っていく。
月刊中央会(2024年5月 第796号より)