株式会社上野商店は大正元年創業。以来こんにゃく製造に携わり、ヘルシーで低カロリーなこんにゃくを生かした新商品を提案し続けている。兵庫県中小企業団体中央会(中央会)の支援をいかに利用されているのか、代表取締役の上野氏に話を伺った。
現社長は4代目。他企業で経験を積み、家業に就いたのは阪神淡路大震災の直前のことだった。震災を乗り越え無我夢中で月日が過ぎた。
その後、父親から社長業を継いだ。気がつくと、不況や材料の値上がりなどで業績が伸び悩んでいる。受け継いだことを守ることが大事と頑張ってきたが、正しかったのだろうか?そんな疑問が生まれた。
そんなころ「今できることを今すぐやる」という言葉に出会って感銘を受ける。「今ある商品を今あるお客さんへ売りに行こう」と、社長自ら宣伝販売を始めた。平日は本来業務をこなし、休日返上でスーパーやデパートに出かけた。
催事ではいろんな店や企業と知り合いになった。そこで気づいたのは、皆商品を売ることよりも、自社のブランド力や商品認知度の向上、ファンやお客様作りに力を入れているということ。こういった地道な取り組みが中小企業には必要なのだと教えられた。
今あるお客様への対応を大切にしながら、新しいことにも挑戦し続ける。20年前から販売しているわらび餅風こんにゃく「神戸べっぴんものがたり」のパッケージリニューアルに取り組み成功。神戸セレクションにも認定された。
頑張っている同社へ向けて、中央会からも様々なイベントへの誘いが寄せられる。「facebookでプロモーション大会」、「国際フロンティアメッセ」、「ひょうご特産品フェア」、「アグリフードEXPO」、「学生インターンの受け入れ」など、次々と参加した。「前向きに外へ意識を向けると、つぎつぎに出会いや好機が生まれた」と振り返る。仲間が増え、中央会スタッフとも親しくなった。
おかずとして商品化した「黒豆こんにゃく」だが、最初はスイーツとして考案した。未知の分野であったため、開発のサポートとして「専門家派遣事業」を利用してパティシエを紹介してもらった。また、販路開拓のために、コラボできそうな飲食店もマッチングしてくれる。「今何を求めているのか分かるからサポートしやすい」とは中央会香川の談だ。コミュニケーションが取れているから、欲しいときに欲しい提案が得られる。
失敗や成功を繰り返し、今現在も「次はこうやってみよう」の連続だという。業績も少しずつだが上を向き、成果は確実に上がっている。