コンクリートは、セメント、骨材、混和剤、水等の原材料を混ぜ合わせた建築資材である。その用途は多岐にわたり、建築工事全般に欠かせない。
生コンクリートとは、予め指定材料を混ぜ合わせ、固まらない状態で作業現場へ運搬されるものを指す。現場での練り混ぜが不要で、すぐ使えるだけでなく、経費も節減できる。また、工場で厳しい品質管理のもと生産することにより、品質の均一化が図れるという利点もあり、現在はコンクリートのほとんどが生コンクリートとして流通している。
畑違いの職種から転身されて10年、北神生コンクリート協同組合で事務局長を務める古東(こひがし)佐一郎氏と、長年事務局で業務に携わっておられる奥様の安子氏に話を伺った。
中小企業が多くを占める生コンクリート業界で、官公需発注など、大規模工事を請け負うには組合の存在が欠かせない。
北神生コンクリート協同組合は、完全共同販売、与信管理、品質管理、技術革新を一貫して担うことを目標に設立された。以来、各種役員会を活発に開催し、情報交換や技術向上への努力を続けられてきた。全国生コンクリート品質管理監査会議の統一監査に合格し、組合員全社がマル適マークも取得されている。
IT化にもいち早く取り組み、組合で請け負った工事は専用のサーバーとオンライン管理システムで一元管理されている。オンラインシステムにより、スケジュールや品質、割り当ての管理もスムーズになり、正確で高効率の完全共同販売が実現された。
中央会との関りも長きにわたり、法規制への対応、決算、許認可、登記等に関わる手続きや書類作成などで力を借りることも多い。組合員の取りまとめにも第三者である専門家の助言は不可欠だ。ちょっとした相談には電話対応もしてもらえて助かっている。「ついつい何でも聞いてしまうんですよ」と身近な存在として活用されている。
高度成長とともに大成長を遂げた業界であり、日本経済の激動を経験した。政治方針の変化に左右されることも多く、価格の変動にもさらされてきた。交通網の発達により輸送範囲が大幅に拡大し、地域外業者の流入も見られる。
阪神淡路大震災では、古東氏自身も建築物の被害状況検査の現場を経験され、基礎工事の大切さを痛感されたという。高品質な製品を安全確実に届けるには?生コンクリート業界にできることとは?自問が続く。
景気回復基調との呼び声高い今こそ、地固めを考えるときだと古東氏は語る。今後に向けて、品質の保持、設備投資を推進すべきときである。管理システムのソフトやハードの入れ替えも検討中だという。科学技術も日々進歩している。新素材に取って代わられることもあるかもしれない。現状に慢心することなく、新技術にも積極的に目を向け、組合員のため、地域社会のために奮闘される真摯な姿勢を見せていただいた。