父上が2009年に創業された会社に合流して8年。藤原弘三さんは、専務として会社の発展と従業員の幸せの同時実現に取り組んでこられた。
株式会社藤原は、アルミ鋳造の一工程である砂型「中子」の製造において、特に複雑な形状のものを手がけ、技術力の高さを生かした事業を行ってきた。畑違いの職業経験から挑戦した藤原さんだったが、経験を積む中で、小ロット多品種に対応できれば発注側受注側双方の困りごとを解決できることに気づく。
小ロット多品種に対応するためには、自社で鋳造から加工までを行う機能を備える必要がある。融資の相談先である兵庫県信用組合から融資や補助金獲得に有利となる経営革新計画のことを聞き、策定に挑戦。コンサルタントに任せっきりにするのではなく、藤原さんが熱く語り、奥さまが文書として作成するという大変な作業を完遂し、見事承認されることになる。
補助金申請においては、機械を導入しても使える人がいないという壁にぶつかり、計画をふりだしに戻すこともあった。でも、一旦目標が定まれば、情熱と勢い、確かな信用を以って補助金を獲得。ついに一貫生産を実現した。
実現までの過程はホームページやfacebook、展示会、公私問わずあらゆる立ち回り先で途切れずに発信し続けた。これが実を結び、都度協力者が現れたり、新しい仕事の引き合いがあったりと、人と繋がることの大切さ、醍醐味を実感することとなった。
これからは中小企業が活躍できる時代だと考えている。大企業の歯車となって一喜一憂していては面白くない。自力でやりたいことを決めて実現する先駆けとなり、地域も巻き込んでいきたい。地元の高校に働きかけて、若い人材の活躍の場となる環境づくりにも取り組んでいる。地元の若い力に希望される受け皿となりたい。また、新規受注の窓口となり、地元の加工業者との連携にも力を注ぐ。地域みんなが幸せになってほしい。
中央会とは県信を通じて補助金などの情報を集める中で出会った。中央会事業の展示会共同出展に参加し、出展仲間とのつながりもできた。広い情報網を生かしたサポートを希望する一方で、仲間の経営者にも紹介したいと思っている。
給料も休みもきちんともらえ、楽しく満足して働ける職場を目指す。人材不足は、労使相互の幸せ度をあげることで解決できるとする。仕事を共にするということは、膨大な時間を共有することでもある。その時間をお互い大切にできるよう価値観を共有し共感できる職場でありたいと考えている。
同社の採用方法は少し変わっている。採用も担う藤原さんは、面接は行わず自分の話を聞いてもらうのだという。面接という短時間の会話だけでは相手の真価はわからない。それより、熱意を込めた話を聞いてワクワクしてもらえたら、ここが「居場所」である。だから一緒にやろう!ということだ。そう説明してくれた藤原さんはボーダーのない人間愛にあふれていた。