淡路島で大人気のパスタ店、PASTA FRESCA DAN-MEN (パスタ フレスカ ダンメン)。島内外からお客さんが訪れ、テレビや雑誌、ウェブ上の記事でも多く取り上げられている。SNSでの書き込みの多さからも人気のほどは明白だ。同店は、2020年に創業111年を迎えた淡路麺業株式会社が運営する直営レストラン。マーケティング部の山本さんに話を伺った。
淡路麺業株式会社は、うどんの製造卸から始まり、うどん店も運営しながら地元の人々に支持されて麺一筋に歩んでこられた。明石海峡大橋の開通などで業績が落ち込んでいたころ、現社長の出雲文人氏が、家業を継ぐ形で五代目の社長に就任。会社の立て直しに取り組まれた。
うどんから生パスタへと大きな方向転換を行い成功された同社だが、簡単な道のりではなかった。生パスタで勝負すると決めたときは反対もあったというが、社長自ら商品開発を行い、2007年に商品ができてからは地道な営業活動に励まれた。その結果、今では全国約3000店舗もの飲食店へ卸すまでに成長した。
社長の苦労譚はメディアでも多く取り上げられており、その成功が容易なものではなかったことがうかがえる。飲食店への製造卸が同社の主業だが、ただ商品を製造して販売するだけではない。社長がフライパンを持ってお店へ出向き、実際に料理方法を指南するなど、当初はまだまだ珍しかった生パスタをいかにおいしく提供してもらうかまでを卸先に伝えることで、販路の拡大を実現してきた。急成長は、自社商品への揺るぎない自信と、この顧客開拓の創意工夫なくしては成し遂げ得なかった。直営レストランも、お客さんの生の声を聞くこと、そしておいしい提供方法をさらに研究することを目指してオープンされた。
中央会の新規連携先開拓支援事業として行われた地域企業応援イベントで、神戸マルイに期間限定で出店したのも、一般消費者のニーズを知り、商品開発や商品展開に役立てたいという思いがあってのことである。マルイ出店では、コロナ過での需要増加も追い風となり、他店を引き離し売り上げを伸ばした。一般のお客さんにも認知されるようになったのには、直営レストランの人気に加え、熱血社長の意志を受け継ぎ、山本さんが地道に丁寧に情報発信を続けている成果も大きい。
ホームページはもちろん、facebook、Instagram、twitter、YouTubeなど各種のSNSをうまく使い分けている。一番力を入れているというInstagramでは、自身に一日一回の発信を課している。会社のアカウントからは卸先を、直営レストランのアカウントからは食べてくれたお客さんをターゲットに、それぞれとつながる。卸先のメニューを食べ歩いて紹介したり、イベントの告知をリポストして応援する。そういった地道な作業の積み重ねで、「#淡路麺業」「#生パスタ」と入れてくれるお店も増えた。そして、今や有名になった公式アカウントからリポストしてもらえれば、お店としても効果的な宣伝となる。直営レストランで食事をしたお客さんの投稿写真を、お礼を兼ねてリポストすることも多い。発信のネタ探しの一環としてやっていると話されるが、公式サイトで取り上げてもらえたら、お客さんもさぞや嬉しいだろう。そういった卸先も一般のお客さんも、みんなを喜ばせて、結果お互いの満足に至るというSNSの真骨頂を実践されている。
まだバズったことはない…と謙遜されるが、一日一日、一投稿一投稿を続けていることで、じわじわと着実にフォロワーを増やしている。
地元で愛され、うどんの製造卸を生業としてきたころからの地元密着の姿勢は変わらない。直営レストランで提供される料理の素材のほとんどは、淡路島産で占められている。淡路島は海にも山にも恵まれた食材の宝庫である。原料となるデュラム小麦を地元農家と提携して栽培し、純国産の生パスタを作ったり、収穫会や手打ちパスタ体験会などのイベントも開いてアピールする。また、地元食材を使ったソース開発に力を入れるなど、積極的に地元の発展に取り組み続ける。
生パスタの認知度は、日本ではまだまだ低いという。自社にて研究を続け、パスタ専門店、レストラン、カフェ、居酒屋…と業種業態に合った生パスタを提供し、調理の仕方、レシピ提供など、多方面からサポートしている。すべては、淡路麺業の生パスタをおいしく食べてもらい、地元そしてお客様と共に発展したいという願いからだ。
今後はBtoCにも力を入れていきたい。あの人気店の生パスタが家庭でも食べられる、と喜んでもらえる。マルイ出店でも確かな手ごたえを得た。中央会のイベントやセミナーなど、これからも利用して、情報発信に取り組み続ける。
淡路麺業オンラインショップ
https://awajimengyo.com/