髙丸工業株式会社は、産業用ロボットシステムのインテグレータとして、クライアントに最適なロボットシステムを提供する技術者集団だ。兵庫県中小企業団体中央会(中央会)との関わりについて、代表取締役の髙丸氏に話を伺った。
同社を24歳で父親から引き継いだ氏は、所属する尼崎工業会青年部の活動を通じて兵庫県中小企業青年中央会(兵青中)へも参加するように。兵青中は様々な業種の組合の若手代表の集合体だ。50歳で「卒業」するまで長年活動する中で、情報交換をし、経験を共有し、自組合の改善に役立てることが大切だと身をもって知った。そして、兵青中には、組合員企業が得をする「儲かる組合」となるための勉強の場であって欲しいと願うようになった。
戦後生まれた製造業の多くは、腕の立つエンジニアや職人が裸一貫で立ち上げたものだ。だが、2代目、3代目となれば、技術者とも限らず、旧来の技術力に裏打ちされた結束力に頼ることができなくなる。このものづくり企業における事業承継の壁は、尼崎工業会においてもしかり。
しかし、儲けるための方策は技術力だけではない。次代を継ぐ者たちは危機感を強く持ち、情報交換や勉強会などを積極的に行うようになった。いろんな力が働きあい、氏の願いが実現しつつある。組合、業種の枠を超え兵青中を活用し、刺激を与え合い切磋琢磨している姿は、頼もしくもあり、うらやましくもある。
事業承継においては新規事業の創出が欠かせない。リスクも多く資金も必要であるため、補助金や助成金の活用を考える人は多い。その中で氏の考えは少し変わっている。
補助金を申請するには、まず申請書類を作らなければならない。信念をもって事業計画を作成し、審査に通らなければならない。こんなありがたい制度はない!新規事業の可能性を無料で審査してもらえ、その上、資金補助まで得られると言うのだ。
また、審査に通れば、事業を実現し、会計報告をする義務も生ずる。こんな良い機会はない!会社運営の指針となり、会社としての成長に大いに利用できる。これを利用しない手はない!と言い切る。補助金申請については、中央会の支援メニューを利用し、第三者、専門家の指導を受けることもできる。
「ハイテクジャパン」は、ロボットを採用した大企業が主役だった。今度は中小企業の力で最強のものづくり日本を再現したい。それにはロボット活用が必至と氏は熱く語る。だが、中小企業でのロボット導入は資金面、運用面など課題が多いのも事実。
でも、視点を変えれば、課題は利点ともなる。コストのかかる多品種少量生産には、実は、ロボットがうってつけだ。そもそもロボットはプログラムで動いているため、プログラムを変えれば柔軟に対応できる。作業をプログラムに落とし込むことができれば、効率化・合理化も進む。中小企業は忙しくて教育にかける時間が無い。それならば就職前の学生に操作を覚えてもらえばよい。ものづくりの根づく兵庫で、中央会をも巻き込み、バックアップを受けながら夢の実現へ向けて取り組みを進めつつある。