株式会社フジタ精米人は、日本の食文化を支える米の可能性を最大限に引き出し、本当に信頼できる確かな商品を提供するべく、創業以来、米一筋に専念してきた。兵庫県中小企業団体中央会(中央会)との関わりについて、企画開発室長の藤田氏に話を伺った。
藤田氏は、大学卒業後、家業の会社の今後を考え、ネット通販関連企業に就職。ネット販売やインターネットを利用したマーケティングのノウハウを得て後、同社に入った。入社時には米や農業関連の知識はなく、まったくゼロからの出発だった。知識を吸収しようとアンテナを張っていたときに中央会主催の農業ビジネス開発セミナーを知り、参加することになる。
平成24年7月~9月に開催された同セミナーは、座学だけに留まらず、見学、研修などを経て、農商工連携による新ビジネス創出までをトータルでサポートする実践的なものだった。「ひょうご農商工連携ファンド」助成事業が紹介され、ファンドを受けようと中央会の支援を得ることに。
兵庫が生産量日本一を誇る酒米「山田錦」だが、日本酒の消費低迷に伴い需要が減り続けており、生産農家や米穀業者にとって厳しい状況となっている。何とかできないかと日本酒以外の新しい用途を模索していた。これがぴったりとはまった。
「しっかいや中央会」の専門家派遣を利用して、事業改革や助成金申請書類の作成の指導を受け、平成25年度ひょうご農商工連携ファンド事業に採択された。そして、同社と山田錦の生産農家、ビール醸造業者の三者連携により、副原料に山田錦を使った新感覚の地ビール「山田錦ビール」を開発。中央会主催の「ひょうご特産品フェア2013」に出展して同ビールのPR活動も行った。
2013年11月に生産者と消費者をつなぐことをコンセプトに米のオンラインショップ『宅配農場「精米人(セイマインド)」』を立ち上げた。この取り組みを知ってもらおうと中央会が開催する「ITでプロモーション大会2014」に参加。ブログやYoutubeを活用し、生産者とお客さんの双方の声などを効果的に発信した点が評価され、最優秀賞を獲得。目標に掲げていた月間ページビュー数も大幅に増やすことができた。
農業の6次産業化の推進が叫ばれる中、地域に密着した農業ビジネスを模索し続けている。
地元小野産の小麦「ふくほのか」。小麦粉になると、中力粉に近い薄力粉でうどん等の茹で麺に適しているという。栽培が難しいとされるこの小麦の地産地消にも会社として力を入れている。うどんを提供している障がい者の福祉施設と栽培農家との連携はできないか?
農家の中にはチャレンジ精神にあふれた方も多いと知った。ただ、単独でのチャレンジはなかなか難しい。連携して何か力になれないか?
次々と地元の活性化を進めるアイデアが浮かぶ。中央会には中立の立場での意見をもらえたり、事業展開に利用できる補助金や助成金のアドバイスをしてもらえるのがありがたい。農業ビジネスを通じて地域に貢献したいという大きな目標のため、これからも長く付き合っていきたいと考えている。