皮革産業は、気候や水利など加工に有利な環境下で継承され、起源は1000年余を遡るという。播州皮革工業協同組合は、たつの市誉田町で50のタンナー及び皮革関連業を束ねて地場産業を支えている。副理事長の山本氏、事務局の山本氏に話を伺った。
長い歴史で培われた高い技術で、たつの産の皮革は日本一の出荷量と高品質を誇る。とは言え、外国産の安価な素材を多用し、短いサイクルで入れ替わるファストファッションが主流となった昨今である。工程と時間を費やして産出される高級皮革は、高価である上に手入れにも手間がかかり、お手軽とはほど遠い。このまま時代遅れの素材となってしまうのだろうか…
そんな危機感から、たつの産皮革のブランド化を目指し、知名度アップや直販に挑戦しようと若手や有志が集まった。グループ名『BAN-LC』として活動が開始された。
出荷量は日本一、品質も世界レベルを自負している。ただ、メーカーや問屋への卸しなど、裏方ばかりを行ってきたため一般消費者にはあまり知られていない。そこで、組合事務所横の倉庫で一般消費者向けに直販即売会をやろう!と2015年から「皮革展示直売会」を開くことになった。
直売会は、商工会議所、たつの市との共催でもあり、PRも行き届いて毎回盛況を博す。ほかにも、商工会議所主催のたつのレザー展示即売会、姫路駅地下通路のにぎわい広場で開かれる連合会のじばさん皮革まつりと、直販は手ごたえ十分だった。
直売の成功を受け、さらなるPRと市場調査も兼ねて、事務所横の倉庫を常設の直売所として運営することになった。便利とは言い難い地の利もあり、常設していてもまだまだ訪れる人は少ない。まずは知ってもらうことが必要だ。中央会の巽からの提案で、平成29年度の連携組織活路開拓調査・実現化事業にエントリーし見事採択。消費者へのアピールのためのサンプルやパンフレット、ロゴの皮タグなどの宣伝ツールに活用した。
素材としての皮革が一枚から手に入ることはたいへん珍しい。産地ならではの価格も魅力的だ。また、メンバーのタンナーそれぞれが得意な加工を施した皮を持ち寄っているため豊富な種類が展示できる。個人で活動するデザイナー、趣味でレザークラフトを楽しんでいる人、素材として皮を利用したい人などに情報が届けば、遠くても不便でも来場が見込める。
若手タンナーの中には自社の皮を使ってオリジナル製品を作り、直販を手掛ける者も現れている。素材の産地としてだけではない動きが始まった。
組合としては、ますますのアピールをどうするかがこれからの課題だ。
(直売所や直売会などのお問い合わせは組合まで tel:0791-62-3611・fax:0791-62-2654)